友人や同僚のお土産で、炭酸せんべいというお菓子をもらったことはありませんでしょうか。
丸い薄焼きのせんべいで、ちょうどいい甘さ。
素朴ですが、クセになる美味しさです。
この炭酸せんべい、実は関西ではかなり知名度の高いお菓子です。
関西の家庭では、炭酸せんべいの長細い缶が、物入れとして再利用されているのをよく見かけます。
「炭酸」という名前の由来
そもそも、「炭酸せんべい」とは、よく考えると変わったネーミングです。
食べても発泡感があるわけではありません。
では、なぜ「炭酸」なのでしょうか?
実はこれ、二酸化炭素を含む温泉(炭酸泉)のお湯を使ったせんべいなので、炭酸せんべいと名付けられたそうです。
炭酸泉の定義は、「1リットルあたりに炭酸ガスが0.25g以上含まれているお湯」。
入浴する場合は、炭酸ガスの濃度が高いほど血行促進などの健康効果が高いとか。
炭酸せんべいは、この炭酸泉のお湯を使うことで、サクッ・パリッとした独特の食感を出すことができているようです。
炭酸せんべいと有馬温泉
「炭酸せんべい」が有名な場所の一つに、兵庫県の有馬温泉が挙げられます。
有馬温泉は、新幹線の駅である新神戸駅から40分程度ですが、日本三古湯の一つにも数えられている歴史ある温泉です。
周辺観光も充実していて、温泉街の雰囲気を堪能できます。
有馬温泉には、「金泉」と「銀泉」という2種類のお湯が湧いています。
「金泉」は鉄分を含む茶褐色、「銀泉」は炭酸ラジウム混合低温泉で無色透明のお湯です。
有馬温泉の炭酸せんべいには、この「銀泉」のお湯が使われているとか。
なま炭酸せんべい!?
炭酸せんべいの焼き方は、手焼きと機械焼きがあり、現代では機械焼きが主流だそうです。
が、有馬温泉の「湯之花堂本舗」では、今でも職人さんによる手焼きの炭酸せんべいを味わうことができます。
そして、なんとこのお店、焼きたての「なま炭酸せんべい」を提供しています(1枚50円、3枚100円)。
職人さんが、1枚ずつ丁寧に焼いてくれて、型から外して渡してくれます。
その賞味期限は、なんと5秒。
1口目はフニャっと柔らかい食感ですが、2口目から硬くなります。
なかなか斬新なので、東京でやればちょっとしたブームを作れそうですね。
他には、炭酸せんべいのミミの部分を集めた炭酸フレークなど、ユニークな商品も売っていました。
宝塚温泉の「タンサン」
他に「炭酸せんべい」を販売しているのは、宝塚温泉や城崎温泉などがあります(いずれも兵庫県)。
宝塚温泉は、かつて駅前の武庫川沿いに温泉街が広がっていたそうですが、今では旅館はほとんどなく、普通の街並みになっています。
しかし、観光地図には、宝塚に来たら炭酸せんべい!とデカデカと書いてあります。
駅前から武庫川を渡ってすぐのところには、黄金家という有名な炭酸せんべい専門店もあります。
なお、宝塚は炭酸水として有名なウィルキンソン・タンサン発祥の地でもあり、黄金屋の向かいあたりに、このような看板が立っています。
「宝塚温泉の炭酸せんべい」と「ウィルキンソン・タンサン」、これらは共通の宝塚の炭酸泉という起源を持つわけですね。
なお、看板の横には、ウィルキンソン・タンサンのみが売られている謎の自販機がありました。
おわりに
以上、炭酸せんべいの由来などについてご紹介しました。
記事を書いていると、久しぶりに炭酸せんべいが食べたくなってきました。
最近では、様々なバリエーションの炭酸せんべいが売られており、ミックスクリーム(バニラ・イチゴ・チョコ)、抹茶、ごま、青のりなど、結構なんでもアリな感じになっております。
個人的には、ミックスクリーム系は、もはやゴーフルとの境目があいまいな気がするので、やはりプレーン系で勝負してほしい。