「陀羅尼助」(だらにすけ) という薬をご存知でしょうか。
たまに、ご当地ネタ番組でも紹介されていますが、関西マイナーの胃腸薬です。
とはいえ、アイキャッチの通り、いらすとやに画像がある時点で、少なくとも一部ではそれなりの知名度はある薬だとは思います。
自分は関西出身ですが、子供の頃から「陀羅尼助」は「正露丸」と並んで下痢止めのツートップでした。
陀羅尼助の歴史
この薬、実は非常に長い歴史を持っているそうです。
一説によると、日本独自の山岳信仰「修験道」の開祖である役小角(えんのおづの、634年~701年)が使用したのが始まりだとか。
役小角が活躍したのは飛鳥時代だったからか(?)、陀羅尼助を製造・販売しているのは奈良県の会社が多いようです(※特定の会社の商標ではなく、一般名詞)。
陀羅尼助は飲む量が多い
メディアなどでよく話題になる(?)点ですが、陀羅尼助は飲む量が多いという特徴があります。
こちらは、藤井利三郎薬房という会社の「フジイ陀羅尼助丸」という商品で、私が子供の頃から下痢のときに愛用しているものです。
右の1袋が1回分なのですが、開封してみると・・・
この通り、なんと20粒も丸薬が入っています。
で、服用は1日3回(食後)なので、20粒×3回=60粒も飲まなければいけない。
ちなみにビジュアルはネズミかなんかのフンみたいです。
陀羅尼助の成分
では、この「フジイ陀羅尼助丸」、何でできているのでしょうか。
1日量、60粒の成分をみてみると・・・
- オウバク軟稠エキス 1,000mg
- 日局 センブリ末 30mg
- 日局 ゲンチアナ末 500mg
- 日局 延命草末 570mg
- 日局 ゲンノショウコ末 1,000mg
- 結合剤 寒梅粉
「日局」やら「末」は意味がよく分かりませんが、効果が高い薬草がたくさん入っているようですね。
1,000mg入っている「オウバク」は、上に書いた役小角が、7世期末に疫病が流行した際、多くの病人を救った薬だそうです。
「オウバク」の正体は、キハダというミカン科の木の樹皮を乾燥させたものだとか。キハダは、アジア東北部に自生する木だそうで、こんなビジュアル。
樹皮が黄色だから、キハダというそうです。
キハダマグロも肌が黄色だからキハダマグロと言うそうで、同じ由来ですね。
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なお、同じく1,000mg入っているゲンノショウコも、日本で古くから整腸剤として用いられているそうで、慢性の胃腸病、胃弱などに効果があるとか。
【第3類医薬品】フジイ 陀羅尼助丸(だらにすけがん)(78包)【KENPO_11】【フジイ陀羅尼助丸】
陀羅尼助の効用
では、「フジイ陀羅尼助丸」の効用は・・・
まさに万能薬といった感じです。
- 食欲不振(食欲減退)
- 胃部・腹部膨張感
- 消化不良
- 胃弱
- 食べすぎ・飲みすぎ
- 胸やけ・もたれ
- はきけ(むかつき、二日酔い)
- etc
おお、二日酔いにも効くとはすごい。
あれ・・・
よく見ると、効用に「下痢止め」がないぞ?
おかしい、子供の頃から、ずっと下痢止めとして飲んできたのに。
・・・
調べてみると、藤井利三郎薬房の「フジイ陀羅尼助丸」は、なんと下痢止めは別の薬(板バージョン)が出ている模様。
メール便【第3類医薬品】フジイ陀羅尼助丸(板)止瀉薬20g(:40個)
こちらは、1回2個(2かけら?)を服用するようで、1日量の6個の成分は・・・
- オウバクエキス 3,000mg
- ゲンノショウコエキス 1,450mg
- 添加物 バレイショデンプン
上の丸薬バージョンと成分は同じですが、オウバクの含有量が3倍(3,000mg)、ゲンノショウコが1.5倍(1,450mg) と、成分構成が大きく異なっていますね。
おわりに
ちなみに、「フジイ陀羅尼助丸」は、 薬効を一層高めた薬用人参配合バージョンも出しているようです。
実は、下痢の時に飲むべきは板バージョンだったのではないか?という疑念を振り払いつつ、今回は「陀羅尼助」をご紹介させて頂きました。
関東地方ご出身の方々も、是非ともお試しください。