ベトナムの首都・ハノイの観光本をチェックしていると、水上人形劇という聞きなれない言葉が載っています。
るるぶベトナム ホーチミン・ハノイ・ダナン (るるぶ情報版)
水上で行われる人形劇とは、一体どういうものなんでしょう。調べてみると、ベトナムの伝統芸能だそうです。
水上人形劇とは?
この水上人形劇ですが、水が張られた舞台の上で、ベトナム人の伝統的な暮らし・民話などを人形を使って再現するというものです。
その歴史は1000年にも及び、元々は農民達が収穫祭のときに水辺で人形を操ったのが起源だそうです。
中世頃には、既に娯楽として宮廷に取り入れられていたとか。
ハノイには現在、タンロン水上人形劇場とロータス水上人形劇場の2つの劇場があり、劇の内容はほぼ同じだそうです。
今回はタンロン水上人形劇場に行ってみました。
タンロン水上人形劇場の場所
タンロン水上人形劇の劇場の場所は、ハノイの旧市街エリアからすぐです。
旧市街エリアには、ホアンキエム湖という上野公園の不忍池のような湖があるのですが、劇場はその北東の角くらいに位置します。
劇場の外観はこんな感じ。1956年築であり、非常に歴史ある建物です。
この劇場は、ベトナムの国民的英雄のホー・チ・ミン氏が、子供達のために建設したとか。
前の道路は交通量が多いので、ホアンキエム湖側から道路を渡る場合は気を付けましょう。
チケット料金・購入方法
タンロン水上人形劇は、ご飯とセットで数千円みたいな旅行会社のオプショナルツアーが多いですが、チケットは(空きさえあれば)簡単に取れるので、 自分で取っても良いかと思われます。
劇場に行くと、入口にこのようなボードがかかっており、本日を含む何曜日の、何時開始の公演に空席があるのかが一目で分かります。
チケットは満席になった時点で販売終了になるため、少し前に行って確保しておきましょう(自分は金曜日の午後に行きましたが、チケット売場に着いた時点で、約1時間後の公演が空いていました)。
何時開始の公演のチケットが欲しいと言えば、窓口の人が丁寧に対応してくれます。「開始〇分前に戻ってきてね」と言ってくれますので、ホアンキエム湖をぶらぶらして時間をつぶすのがオススメ。
チケットは、席の場所によって値段が異なり、10万ドン、15万ドン、20万ドンの3種類です。ドンを円換算するには、ざっくり200で割れば良いので、500円、750円、1000円相当ですね。
劇場はそれほど広くないため、500円の席でも快適に鑑賞できると思います。
入場後は、劇場内は少し暗く、通路は狭いので、焦らずゆっくりと自分の席を探しましょう。
水上人形劇のプログラム
水上人形劇のストーリーは、3~5分くらいの短編エピソードがたくさん集まったもので、全体の長さは1時間弱くらいです。
入口に置いてある日本語プログラムによると、エピソードの内容はこんな感じです(プログラムの原文ママ)。
- 開幕:伝統的な楽器の独奏、合奏
- テウさんの司会
- お祭りの旗をあげる。
- 竜の踊り
- 水牛の腰に座りながら、笛を吹く牧童
- 耕し、水取り出し等の農作業
- 蛙の釣り
- 家鴨を取るフォックスを戦う。
- 魚釣り
- 試験を高いポジションにて合格した者は故郷に戻って、祖先に感謝する。
- 子供は水の中に遊ぶ。
- 鳥の踊り
- Le Loi王様は舟にて遊ぶ
- 舟レッシング
- ライオンの踊り
- 八仙人の踊り
- 龍、狸、亀、鳳凰の踊り
和訳はぎこちないですが、何となく好感が持てます。
テウさんとは誰なのでしょう。試験が上手くいったた祖先に感謝すべきとは斬新です。舟レッシングは意味は分かりませんが力強い響きです。
いよいよ劇が始まる!
劇が始まると、ベトナムの民族楽器による生演奏のなか、水が張られた舞台の上に人形達が出てきて、所狭しと動き回ります。
セリフはベトナム語なので意味は分かりませんが、内容は分かりやすいです。
仕掛けは結構凝っていて、例えば「4. 竜の踊り」では、ドラゴンの人形がド派手に火を吐いて動き回ります。
下の写真は「8. 家鴨を取るフォックスを戦う。」。
右の木に登っているキツネ(分かりにくいですが)が、人間が飼っているカモを虎視眈々と狙っており、キツネvs人間の攻防が演じられています。
下の写真は「16. 八仙人の踊り」。
始めは仙人が6体しか出てこず、六仙人やんけ!と突っ込んでいると、途中から2体加わり8体になりました。
ホアンキム伝説
「13. Le Loi王様は舟にて遊ぶ」は、劇場横のホアンキム湖に伝わる「ホアンキム伝説」というエピソードが由来になっているようです。
「ホアンキエム」は、ベトナム語で「剣を返す」という意味です。
黎朝の初代皇帝である黎利(レ・ロイ)は、外敵を魔剣タンキエムで撃退して王朝を開いたのですが、その後、神の使いの大亀から、平和になったのなら剣を返しなさいと啓示を受けます。
結局、レ・ロイさんは、魔剣をホアンキエム湖に浮かぶ小島に返しましたが、現在、その小島には亀の塔という塔が立てられています。
なお、下の「ハノイの塔」というオモチャは、この亀の塔に由来しているのかと思いきや、ビックリするほど関係ありませんでした。
おわりに
全プログラムが終了すると、人形を操っていたスタッフさん達が現れて、客席に挨拶してくれます。こんなに人数がいたとは。
水が張られた舞台で、どうやって人形を操っているのかは、最後まで見ても結局よく分かりませんでした。
※ちなみに、この水上人形劇、写真・ビデオ撮影ともにオールオッケーです
この人形劇、ベトナムの伝統文化を味わうにはピッタリで、時間も短くサックリ終わりますので、ハノイに行かれた際には是非ともご検討下さい。