プロ野球12球団のファンの中でも、広島東洋カープのファンは熱狂的であることで知られています。
カープは2016~2018年に球団史上初のセリーグ3連覇を達成、カープ女子なる女性ファン層も増え、その勢力を順調に伸ばしつつあります。
広島カープという球団が、広島の人々にとっていかに大切な存在なのかを知るには、広島カープ誕生物語というマンガがオススメです。
カープの成立から初優勝までが、とてもドラマティックに描かれています。
このマンガ、作者は「はだしのゲン」の中沢啓治さん。
作中、物語は独特の中沢テイストで展開され、本当に実話なのかと疑いたくなるシーンもたくさんあります。
例えば、カープに不利な判定をした審判をこの世から抹殺すべく、丸太でフェンスを破ろうとするファン達。
おどりゃ審判でてこいと叫んでいるのは本作の主人公です。
精神修養のため、野球部員全員に日本刀の上を歩かせるという監督も出てきます。
精神を統一して無になれば可能とのことですが、令和の現代では無理です。
広島カープの試合をタダ見するため、球場の外からトイレの配管を伝って場内に侵入してくる観客も登場します。
それをタイミングよく発見して排除していく主人公たちもすごい。
他にもエキセントリックなシーンが満載で、広島ファンのみならず、野球ファンにとっても必読の一冊となっております。
Big-Pig 神田カープ本店
さて、前置きが長くなりましたが、広島ファンの知人と居酒屋で野球観戦をしようということで、Big-Pig 神田カープ本店というお店に行ってきました。
場所はJR神田駅のすぐ近くです。
観戦予定の試合は、広島×阪神戦。
初めは適当なスポーツバーで観戦する予定でしたが、どこも開いていなかったため、軽い気持ちでこのお店をチョイス。
しかし、よく調べてみると、このお店、かなりの熱量を持った広島ファンが集まる場所とのこと。
なお、私は阪神ファンです。
一体どうなるんでしょうか。
いざ入店
このお店、入口は地下にあります。
まさに敵のアジトに単騎潜入するような感じになってしまいました。
階段を降りると、入口にカープの缶バッジガチャを発見。
さらに、入ってすぐの所では、カープユニの貸し出しがありました。
一瞬、鉄板焼きの店だから臭いがつかないために貸し出しているのかと思いましたが、そんな訳ないですね。
なお、当初は鳥谷ユニでも着て闖入してやろうかと思いましたが、そんなことをしたらつまみ出される程度では済まないという雰囲気が、入店前から伝わってきます。
店内の様子
店内は予想外に広い。
そして、カープ一色、というか真っ赤です。
お客さんも店員さんも、間違いなく全員が広島ファンです。
お店の真ん中には、デカデカとスクリーンボードが掲げられていました。
何の試合かと思いきや、1975年10月15日にカープが初優勝を決めた日のスコアボードのようですね。
店内には、大型のテレビが複数設置されており、どの席に座っても野球観戦を楽しめるようになっております。
壁には球団のレジェンドを含む、沢山のカープの選手のサインが飾られていました。
三省堂国語辞典 第七版 広島東洋カープ仕様 [ 見坊 豪紀 ]
「観戦コース」で観戦開始
「観戦コース」というコースを注文(5,400円)。
広島お好み焼きなどの料理付きで、なんと、試合開始から終了まで飲み放題。延長戦などで試合時間が延びればお得です。
そんなこんなで、いよいよ試合開始。
カープが得点するごとに、店内に「それ行けカープ」の大合唱が起こります。
♪カープ、カープっ、カープ広島ぁ、広島カァァアープゥ〜♪
・・・このフレーズ、この後しばらく耳について離れなくなりました。
一方、阪神タイガースが得点すると、店内はシーンと静まり返ります。
私は周りにバレないよう小声でヨッシャと呟き、小さくガッツポーズ。
隠れキリシタンばりにひどい状態です。
なお試合は、初めは阪神がリードしていたものの、途中からカープが逆転。最終的にはワンサイドゲームになってしまいました。
カープの勝利が決まった瞬間、ワッと沸き、熱狂する店内。
店員さんまで、お客さんとハイタッチを繰り返していました。
そして、私にもハイタッチをしようとして、私の苦渋の笑みに気づき、「あッ・・・こいつ!違う・・・!!」ってなっていました。
・・・
なお、コースのデザートには、広島名物のもみじまんじゅうを揚げたものが出てきました。
甘くもほろ苦い、Big-Pigの〆になりました(よくわかりませんが)。
おわりに
阪神タイガースも熱狂的なファンが多くて有名ですが、カープファンは確固たる地元愛に根差しており、その熱意は本当にすごい。
広島カープは、そんなファンの期待に応えるべく、FAの選手は獲得せず、一貫して生え抜き選手を育てて戦っています。
他球団も、見習うべき点は多いですよね。
広島から遠く離れた東京に、このような熱狂的ファンが集う店があるのは本当に羨ましいです。
阪神タイガース版もあったらいいのになあ。