絵本『まないたにりょうりをあげないこと』を初めて読んだのですが、とても面白かったのでご紹介させて頂きます。
2009年発売の作品で、絵本作家・シゲタサヤカさんのデビュー作。
当時、講談社の絵本新人賞の佳作を受賞したそうです。
講談社の絵本新人賞はこちらですが、第41回(2019年)は『にんじゃいぬタロー』という作品が新人賞だったようです(第42回は現在募集中)。
「まないたにりょうりをあげないこと」あらすじ
では、「まないたにりょうりをあげないこと」のあらすじを、簡単にご紹介させて頂きます。
コックが驚いている場面から物語はスタートします。
一人のコックはたった今、大変なものを見てしまいました!
・・・いきなりまないたがエビを喰うという衝撃的な展開でスタート。
絵面もシュールです。
コックは「ヒャア~」という間抜けな声を上げ、「い、今!今!今!エビを!まないたが!」と激しく動揺。
しかし、人気レストランのため同僚は皆忙しく、完全に無視されてしまいます。
まないたの顔がヤバスギ。
その日の夜。
コックは、昼に起きた怪現象の真相を掴むため、まないたを調べてみることにしました。
一見、おかしなところはない・・・
と思いきや、エビを置くと、「ムシャリ!」と再びまないたがエビを食べました。
驚き困惑するコックを尻目に、まないたが喋り始めます。
これまでは魚の尻尾、野菜の根っこ、肉の端っこを食べる程度で我慢していたが、エビはつい丸ごと食べてしまったとのこと。
さらに、これまでは調理前の素材しか食べたことがないので、今度は調理後の料理を食べてみたいと要求してきます。
まないたはコックを見つめ、甘い声で「ねえねえ、コックさ~んおねが~い」と迫ります。
「う~ん、しょうがないな~」と、あっさり陥落してしまうコック。
翌日からコックは、同僚の目を盗み、まないたに料理を食べさせます。
1ヵ月が経過。
2ヵ月が経過。
・・・
そして、事件は3ヵ月目に起こります。
コワモテの料理長がやって来て・・・
「ん!?」
「おい!そこのコック!そのまないた、そんなに大きかったか?」
大きいどころの騒ぎではなく、もはやぬりかべくらいのサイズです。
「おい!お前に聞いているんだぞ!その妙にデカイまないたは何だ?」
コックをガン詰めする料理長。
このサイズになるまで気づかなかった料理長も相当ヤバイ気がしますが。
コックは観念して、料理をまないたに食べさせていたことを告白します。
料理長は激ギレ。
まないたを持って出ていけと怒鳴ります。
たとえクビにされたとしても、このまないたは絶対いりませんよね。
ごめんなさい、ごめんなさいと謝るコック。
その時・・・
「料理長、実は私もこっそり料理をまないたに食わせていました・・・」
「実は私も・・・」
なんと、同僚のコック達も、まないたに餌やりをしていたことを続々と告白します。
まないたの人たらしっぷりにびびりますが、衝撃的なのは次のシーン。
人数的に完全に優位に立ったまないたが、すごいイヤな表情で、料理長にリストラの取り消しを迫ります。
コックを全員クビにしてしまったら料理を作る人がいなくなり、レストランは倒産するぞ、との殺し文句。
料理長も仕方なく折れることにしました。
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後日、レストランの壁に、「まないたに餌やり禁止」の張り紙が貼られ・・・
・・・まないたも痩せて、一件落着(?)。
なお、最期のオチはこんな感じ。
が、しかし・・・
ちょうしの いい
まないたのことです。
たま~に、こっそり、
おなかの うえの たべものを
たべているかも しれませんね。
・・・いや、全コックを篭絡した手練手管がある危険なヤツなので、確実に食べるでしょう。
まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本) [ シゲタ サヤカ ]
全編にわたって独特の世界観で、非常に引き込まれる絵本でした。
他のシゲタサヤカさんの作品も、機会があったら読んでみたいです。